Panzer II type F: Dragon LSSAH Fall 1942
Introduction

今回の企画はスパーディテールフォトブックを片手に車両をいじろう!的企画であります。現存する2号F型の細部をくまなく撮影しまとめた同書はその戦歴や開発工程等も含め、ドイツ軍ファンにとっては痒い所に手の届く一冊でありハードディテールUP派にも十二分に満足していただける一冊です。

元々自分は細部の微妙な形状について、そして数ミリ単位のズレ等の考証には手ぬるいモデラーであります(単純に気にならない?)。 製作において重視するのは全体のバランス、雰囲気、そして模型的なリアル感で今回の写真集も図面的な超正確さを求めるための資料としてではなく、主にF型の細部にはどのような部品が使用され、そしてキットで省略されたのはどのような部分なのかを確認するために使用しています。作例の考証的価値を上げる為には勿論優良な資料ですが、ぼ〜と眺めていますと対戦初期のドイツ製品らしいデザイン、細部の作りそしてそれらの機能も妄想できます。またそうしてキットとして省略された部分を知ることによりD社としての苦労や意図を垣間見ることまで可能でモデラーとしては楽しいものです。さてさて本のセールスはこの辺にして・・・。

情景の設定:
今回はドラゴンの箱絵の車両を少々アレンジして製作することにしました。2号戦車はT-34等ソビエト主力戦車に対して"明らかに"力不足ではありました。ですが、それでも砲兵観測、偵察、そして歩兵の支援等には1943年においても比較的有効であり、有名な第3次ハリコフ戦においても同士団において主力戦車の支援車両として活躍しています。ある資料によれば10両の2号戦車が同年3月10日の時点において稼動していたようです。作例ではそのハリコフ戦以前(例:9月24日メリトポール)の同師団車両をイメージしてみました。


キットの印象&製作上の注意点:
状態での設定が容易でしょう。使用されているプラスチックは軟らかいために加工を施しやすい反面部品の削りすぎなどには注意が必要です。取説に関しては不鮮明な部分が多少あり、作業を行う前によく観察・仮組・確認することお勧めします。また各種部品、特に主な車体の部品の組み合わせはプラバン等を使用した加工を必要とします。 砲塔内部の部品は大変細かい上に接着位置が分かり辛いので写真集の実写とよく照らし合わせて作業を進めてください。また車両は必ずしもオリジナルの状態ではない可能性が部品によってはかなり高い場合も考えられるために注意が必要です。

まとめ
何をどのような場面で作りたいのか出来るだけしっかりしたイメージを浮かべながら具体的な設定を考えていくことが大切だと思います。より細かい部分まで妄想することが出来れば半分完成させたようなものです!後はひたすらその想像図に向けて手を動かすだけです。 漠然と山に登りたいと思うのではなく、どのような高さの山にどの時期に行きたいのかをイメージできなければ事はなかなか進みません。これらがきちんと想定されていればばどのぐらいの体力が必要なのか、どのような地形、天候や気温に適した装備を準備すればよいのかは一目瞭然です。目的の登山に必要な装備や、体力、知識を得ることを無駄なく的確に行える筈です。多くのモデラーにとって、こうした妄想作業は一番楽しいものの一つである可能性が高いでしょうから(締め切りが無ければ・・・笑)手に入る資料全てと友人も巻き込んでじっくり時間をかけるとよいのではないでしょうか。考証とか細部の出来ではなく、とにかく組み立てそのものを楽しむ、そして省略やディフォルメがよい意味で作り出すかっこよさや輝きを発見する喜び等が消えていく傾向にあるように少し思います。模型人口が減少していく中、このような傾向はユーザーも含めた業界全体で今一度考える必要があるように強く感じます。言いますか・・・。20年ぶりに組んだ「U号戦車F型」、ずいぶんと色々な事を考えさせられました。


assembling the model
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