Dragon: 1/35 Fummel

INTRODUCTION:

自走榴弾砲フンメル
大対戦初期、重歩兵砲や対戦車砲を搭載した自走砲は既に運用されていましが、野戦榴弾砲を搭載した車両は当時まだ存在していませんでした。しかしポーランドやフランス戦後、装甲部隊と行動が出来る砲兵部隊の欠如は明らかに成り敏速な専用車両の開発が求められました。そうして生まれた代表的存在が 15cmsFH18 L/30を搭載したSdkfz.165フンメルでした。 クルップとラインメタルで生産された15cm砲は13,325mの射程を持ち毎分4発の発射速度を有していました。乗員は通常7名、搭載弾薬数は18発、中隊に6両のフンメルと1両の専用弾薬運搬車を保有していました。1943年には368両、1944年には289両、そして1945年4月までに57両が生産されました。合計714両のフンメルそして157両の弾薬輸送車両が生産されました。


THE KIT:

大型オープントップ車両に大口径榴弾砲を積んだフンメルは見所満載です。当初88mm対戦車砲を積んだスマートな印象のナスホルンの方が気になっていたのですが、組みあがったフンメルはそのずっしりとした大口径搭載車両ならではである安定感と迫力で模型的魅力を十二分に作り手に伝えてくれるすばらしいキットだと思います。

今回担当させていただいたドラゴン・最新版フンメルは同車の持つそれらの魅力を大変高い精度で再現しています。最も目立つ極薄装甲板の表現から、気の効いた注意書きや座標のエッチングパーツ、そして砲弾に取り付ける細かいディカールに至るまですばらしい完成度で提供されています。一方車種の性格上丸みのある繊細な部品が比較的多くそのパーティングラインの処理や組み立てには部品の精密度に比例する細心の注意が必要です。また複雑な構造を持つ火砲本体と周辺部品の中には接着位置が不明慮な物もあり、完成させるには多くの時間を必要とします。しかし丁寧に組み立てたキットにあらゆるレベルで満足のいく完成品を手元に残してくれるはずです。腰をじっくり据えて時より写真集などを覗き見しつつ時間をかけてじっくり楽しむことをお勧めします。(資料としてはRyton  Publicationsから出版されている“フンメル”が大変役に立ちました。 )


付属の車載品も多少ディテールUPを行いより立体的に...。 角をシャープにした後(上)、プラペーパーでより立体的に加工、そしてリベットを追加(下)しました。
ラッカーパテで溶接跡を再現しています。 減速機周辺おなじみの結合ラインはやはりラッカーパテで丁寧に消します。


防盾のステイ及びエッチングパーツの強化柱の取り付け位置が不明瞭なので注意してください(上右画像)。また一部どうしても段差が生じてしまったのでその部分はプラ板で修正しています。(上左画像) 繊細で丸い部品が多い主砲周辺。焦らずゆっくり段階を追いながらペーパーがけを行っています。
よく見られた駐退器内側合わせ目は分割の工夫により存在しません!毎回この部分の張り合わせ跡&パーティングライン消しには苦労させられましたが今回初めてその作業から開放されました!押し出しピンもわずかしか存在しない点など、メーカーの細かい配慮が節々にとてもよく感じられます。 この部分も取り付け位置がやや不鮮明でした。資料写真とにらめっこです。
配線類を追加しています。 トラベリングロックにはチェーンや細いロッド等を追加し、省略されているリベットを補い開口部分はピンバイスで加工しました。
フェンダー前部側面:↓
個人的にこの部分のデイテールUPには毎回力を入れています。地味なパーツですが、車両の最前方に位置しているので目立つためです。また数あるパーツの中にあって特にダメージ表現が似合う部分でもあり、車両の使用頻度や運用期間を無言で語らすには最適な部品だと感じています。
フェンダー前部のフラップを固定するロッドはデザインナイフで単純に立体的に仕上げています。 加工前(右):加工後(左)

本来フェンダーステイとフェンダー本体は別パーツです。ナイフを使いより立体的に加工しました。加工前(上):加工後(下)