Enigma: Tamiya 1/35
MAKING OF ENIGMA

INTRODUCTION:

作る楽しみを再確認・清く省かれたディテール

若干ディテールを追い求め過ぎる傾向にある最新の超精密キットの中にあって今回のエニグマはなにやらユーザーをホットさせる要素がありました。それはキットの分かりやすい説明書&本車両についての丁寧な解説や付属のアラブ系イケメンフィギアなど、精密さだけではない楽しみ等を数多く提供している部分なのですが、それ以上に威圧感の無い厳選された少ない部品点数で構成されたキットによるところが大きいように思います。勿論最新の超精密キットのリアルな出来ばえは申し分ありません。しかし一方で毎回あまりのパーツの多さに箱を開けた瞬間に圧倒されてしまうというのも良いものかどうか・・・。

ベースのT−55は言うまでもなく大変良いキットですが最新ではないために押し出しピン痕が多めに見られます。またハッチ裏側や燃料タンク細部は再現されていませんし車輌本体の溶接表現が無い部分もあります。しかしこれらは熟考されて省かれたものでどの部分をとっても自作できない範囲では決してありません。むしろ手を加える要素が趣味よく残されていることによってユーザーそれぞれが創意工夫をする余地があるということです。最新キットの中には再現度に拘りすぎている傾向があると思うのですが、プラスチックではやはり限界があるので無理に部品化しなくてもいいと思います。中途半端に再現されている場合、結局それらをわざわざ削り取らなければなりませんので、始めから無い方が良い場合もあると思うのです。

“どこをいじったのか”一見分からない多くのキットとは違い、エニグマはそういう点を直ぐに認識してもらえる良さがあります。実車の雰囲気を最低限の部品点数で構成してしまう巧みさはモチベーションのキープに大変よく、デイテールアップの有無に限らず格好の良い完成品を誰でも手にすることが可能です。やはり模型は実際に完成させてこそ良さが伝わるはずです。アフターパーツを全く使用しなかった今回の製作はいつに無く限られた時間の中での作業にもかかわらず終始楽しいものでした。エニグマは初心者にもベテランにも応える素晴らしいキットだと思います

T−55・現用車輌の魅力

ほぼ間違いなく戦車のベスト・ロングセラーであるT−55は数多くの国で現在も運用されています。多くの実戦を重ねているために現地改修型も含めますと無数の仕様に塗装パターンが存在しると思われます。それだけでも大きな魅力を感じますが、このエニグマはそのような中でもある意味究極の車輌ではないかと・・・。旧車両をなんとか低予算で少しでも最新型に対抗できるよう涙ぐましい努力がひしひしと伝わってくる感じがなんとも制作意欲をそそります。(米軍には結局ぼこぼこにされましたが)、そしてベースのタミヤT−55は多少古い部類でありながら大変よく出来たキットですからこの組み合わせは嬉しい限りです。贅沢を言えばもう少し早く発売していただきたかったですね。



どんな車輌もサンドカラーでかっこよく見える!(某秋葉店S氏のコメント)

個人的にグリーン単色基本塗装のロシアン車輌には以前からあまり反応できませんでした。でもそんな車輌でもサンド系で仕上げてあると何故かかっこよく見えてしまう・・・。最近発売されたイスラエル軍仕様シャーマンの場合もそうなのですが、なるほどサンドカラーに仕上げられたイラク軍T−55はなかなかどうして、本家本元のオリーブグリーン系よりずっと精悍に見えてしまうような気がします。さすがS氏。 

塗装 
オリジナルはロシアングリーンであることを想定してまず車輌の最暗部を中心にTA(タミヤ)ダークグリーン+クリア少量で塗装します。次に現地で取り付けられたと思われる部品、主にスペースド・アーマー関連、そして脱落したフェンダー&アーマー基部等をプライマーカラー(全てTAハルレッド1:レッドブラウン2:ホワイト少量)で塗装します。脱落した部分はプライマーが残るようマスキングをします。
サンド系の基本色をTA木甲板3:ホワイト1:クリア少量で作り車体下部、及び暗部を残し少し荒めに塗装します。最暗部ではないが、奥まった部分でそれほど風雨や傷がつきにくい場所はしっかりと塗装します。戦車の形状や稼動部、日光や風雨にさらされる面、乗員の行動により傷つきそうな場所を妄想してみてください。

砲銃眼の開口はかなり目立ちますので内側から暗い色で塗装しておきます。機銃はTAジャーマングレイで塗装後軽くスモークを吹いてセミ・ブラックでワッシングをしています。