侮れないピンセット選び: 

頻繁に使用する重要な工具の一つは何か?と尋ねられた場合、デザインナイフと鑢類を除けば多くの人がピンセットと答えるような気がします。この工具、特に部品が細かくなればなるほど活躍してくれるわけですが、どのような作業にもぴったりの一品と言うのはそのシンプルさとは裏腹に意外と探しし難いような気がします。

自分の場合もそれぞれの用途により使い分けていますが、結局気がつけば3種類程度使っています。(単に家族が使用しなくなったものが2本ほどあったもので...。)
もっとも使用頻度が多いのは精密部品用の極細のピンセットですが、このピンセットは軽量でゴムのグリップも付いておりなかなか使い勝手がよいと感じています。少しの力で細かい物をはさめるこのピンセットは確かにスケールモデル作りには欠かせません。

しかしこのピンセットにも不満はあります。先があまりに細いため部品の形状によっては掴みにくくあやまって大切な部品を飛ばしてしまう事があります。 あのピッン!とした高音と共に飛び去っていく部品......。順調に進んでいるはずの作業を一瞬のうちに停滞させてしまうあの乾いた音。はじいた直後に聞こえてくるかすかなもう一つの音で大体の着地点を予想される方もいらっしゃいますが、自分の場合見当はずれの事が多々あります。そしてああ、紛失。その後部屋で掃除機を着地予想地点付近にやむなく掛ける際にホースの中から時折聞こえてくるあの”ちゃり”と言う音............。スケルトンの掃除機が欲しくなる一瞬です。モデラーの悪夢。 
(自作の細かい部品をどれだけ飛ばして失くしたことか...。思い出しただけでも泣けてきますマジで。)

話がそれてしまいました....。
極小の部品を扱う際、必ずしも極細がよいとは限らないと言う事だと思います。時にはその部品の形状により少し大きめでもしっかりつかめた方がよい事もあると思います。
(単に自分が馬鹿力でせっかちであるからだと言う噂も無論否定できません。)

またエッチング等の細かい金属部品の加工はもちんですが、同様に緊張するのがその接着です。細かい為に極少量の接着剤しか使用できないわけですが、部品があまりにも細かい上に接着剤が部品だけでなく、それを掴んでいるピンセット自体にもあふれてしまい本来模型に接着したい部品がピンセットから離れないぞ!!!!あ〜。と言う苦い経験を繰り返しされた方が殆どではないでしょうか。

この点に関しても自分はとても苦労している一人です。
針の先をなめて部品を拾い、そして模型の上の接着面に持って行くなどそれなりに工夫はしていますが、この方法では思った場所になかなか正確に取り付けられないと言うのが現実です。やはりきちんとピンセットで掴んで所定の位置に持っていければ作業の効率と精度飛躍的にUPするのではないかと想像しております。

以上のような点を踏まえるとスケールモデル用の理想のピンセットの条件が多少見えてくると思います。

画像のピンセットは完璧なものではありません。ただ今までの経験から他の物と比較して自分の希望をかなり満たしてくれているものであると思います。

先端は極細ですが幅が直ぐに広がるため、細かい部品も掴みやすいと同時にしっかりとホールドする事が出来ます。そして何よりもフッ素コーティングが施されているので(完璧ではありませんが)接着剤等がピンセット本体にしつこくへばりつく事が軽減され従来のピンセットより使い易くなっていると言うのが実感です。

個人的な問題だとは思いますが頻繁に使う工具だけに色々ためして見たいと思っています。