Fiat 626 Model Victoria



FIAT626キット:

"素晴らしい"の一言。質の高さで知られるビクトリア・モデルですが、今回の新製品も期待に応えてくれる大変良い物です。小分けされた部品は丁寧に梱包され、レジンキットにありがちな部品の変形、気泡等も殆どあり
ませんでした。
"どうやって抜いたの?"レベルの精密部品のオンパレードで、ソフトスキンの見せ場であるサス
ペンション、車輪、エンジン、そしてキャビン内側に至るまで見えない部分の表現においても好きな方には涙物です。取り扱いが怖いほど細かい部品も多く、その技術の高さには感激します。個人的にはイタ車独特の愛らしいフロント、美しく表現されたバンパーと天井の曲線に見せられました。戦車には無いソフトスキンならではのクラッシクカー的要素を堪能できます。しかしそれだけではありません。荷台の処理にも注目です。木の表現には自然派(?)モデラーとしてはこだわりたいのですが、荷台のモールドは完璧です。今回、積荷が木材であるだけに、荷台と違和感なく見せる必要がありましたが、全く手を加えませんでした・・。






製作:
部品の切り出しはエッチングソウで行います。細かい部品が多数存在するので、扱いにはご注意。(紛失しないように・・。)指示器、サイドミラー、ハンドル支柱等は細すぎるので真鍮線に置き換えています。窓ガラスには薄いフィルム上のクリアシートが含まれていまが、型紙を作り、合わせて切り抜けばよいと思います。接着には接着時間が多少長めのゼリー状タイプをおすすめします。キャビン本体やシャーシー、荷台側面部品等大きな部品が含まれていますが、反りが殆ど無いために、すり合わせを"丁寧に"基本どおりにこなせば製作に関して問題ないでしょう。

塗装:
今回の見せ場はやはり塗装だと思います。完璧に近い出来のキットだけに工作に関してはほぼストレート組みですが、仕上げの塗装には時間をかけました。複合素材で出来ているトラックの塗装には、普段以上に各部分の質感の違いを出す必要があると思います。よって今回は特にその辺にこだわって作業を進めました。

"各部の基本塗装"
荷台:フレームは金属ですが、他の部分は殆ど木製です。ここではフィギアに似た筆を多用した塗装方法を使用します。タミヤアクリルダークイエローに白を加えたものをオバースプレイします。次にフレーム部分を茶系で塗装します。その後筆を使い1枚1枚の板を個別に塗装していきます。(金属部分にはグレー系を使用)この工程にはヴェレフォアクリルを使用していますが、重要なことは薄い色を何度も重ねていく工程です。また使用する色もオレンジブラウン、デッキタン、ローアンバー、デザートイエロー等4色程度使用しています。それぞれの板の色が極端に異ならない様に注意しつつ、凹を中心に暗い色を落とし、そして凸には明るい色を重ねます。また積荷である丸太の様に自然素材を使用する場合、周辺に合う様にその"情報量を落とす"事が大切ですが、安直にサフェーサーを用いるのでは無く、下地の色調も生かすような塗装方法を使用しています。広葉樹の幹を意識し、切り口もそれらしく加工しています。

車体下部:タミヤアクリルジャーマングレイで下塗りを施します。その後、全体の基本色【キャビンの塗装参照】を下地が残る様に、そして奥まった部分には焦げ茶系の色を吹いておきます。エクゾストパイプはある程度マスキングを行いパイプ部のみにレッドブラウンで、そして次に少し赤みの強い色とオレンジ系の2色を用意して下地が見えるようそれぞれを"荒めに"塗装します。パイプ先端はフラットブラックを使用します。最後に薄くといたジャーマングレイを"泥が飛び散った様""飛び散りそうな部分"を中心に吹いておきます。細かい錆びは筆で追加します。

キャビン:基本色としてアースブラウン、オリーブドラブ、ホワイトを混ぜたものを準備します。凹部にはジャーマングレイ、そして凸部にはデッキタンで軽く塗装した後、基本色を全体に、そして下地に影響される程度の厚さで吹き付けます。よく乾燥させて、基本色にクリア、とホワイトを更に追加した塗料を作り、凸部を中心に薄く上塗りを行います。更に金属感を高める為に部分的に薄いクリアを慎重に吹きます。乾燥後その部分のみ磨きをかければ完了です。ちなみにワイパー跡はありません。ワッシャー液が存在しないので雨上がりにはいいと思うのですが、比較的乾燥した地域では疑問なので全体を汚しました。

フィギア:好調のミニアートのフィギアを使用。左肩、腕の位置を変更、シャツは袖を出した状態にして【ビール腹に変更。】服の"シワ"のモールドを襟とポケットも含めて作り直しました。ホーネットには髪を追加しています。腕の筋肉、全体のポーズ等にほれました。うれしい一品です!

汚し:チッピングには5色使用しています。多ければいいんかいな!では勿論ありません。木製と金属の部分が半々ぐらい存在するため、それぞれに必要な色が異なるためです。
お馴染みの茶、グレイ系の他にキャビン等にはデッキタン、オリーブドラブ、そして荷台にはレッドブランを追加
しています。油彩ローアンバーでワッシング、パステルで埃を再現しています。

"キャプション"

アクリル塗装による質感の表現:
薄く溶いたアクリル塗料を吹いた場合、その仕上がりは下地の色に大きく影響されます。そして筆を使用した際には、味のあるムラが発生します。コントロールが難しい反面、個人の個性が反映され易い素材であり、質感を再現する上で多くの可能性を秘めているように感じます。重ね塗りを得意とする為、フィルタリングやドライブラシによる"外側"からの工程により生まれるグラデーションとは違い、"内側からにじみ出る"様な効果が得られるのですが、これは自分の目指す方向と合致したものでした。当初はフィギア塗装用としての関心しかありませんでしたが、同様なアプローチを車輌に施すことにより質感の表現に幅が生まれ、またフィルタリングやドライブラシに頼らない独特の仕上がりが可能になったように思います。これは極端な汚しや迷彩塗装の無い単色仕上げの場合でも、十分に変化をもたらす事になり、模型そのもの持つ繊細さや、形の面白さ等を強調する良い結果を生むようにも感じるのですが、いかがでしょうか!?















肩の位置を変更。シャツは出した状態でラフさを強調しています。(お腹は少しぽっちゃり系に加工!)。シャツのすそはシャープなシワをつけたので、上着の残りの部分のシワもそれにあわせて加工しました。 デューロとタミヤエポパテで、ディデールUPをしています。 それにしても最近ミニアートいい感じですね〜。


薄いアクリルの重ね具合がわかっていただければ・・・・。シャドウには黒は用いてません。首が少し辺ですが、これは仮付けの状態です。作品ではもう少し短く、そして角度も自然なものになっています。