a peerless blow! (PG! #5)


88mm砲、本物との出会い:日本にあった実物?!

兵庫県のとある田舎の怪しい倉庫に保管してあったその88の迫力、巨大さ、そして重量感に圧倒されてしまいました。(その鉄の塊はまるでジャーマングレイにぬられた恐竜!)実際に手で触れてこそのみ得られる質&空気感。今回の作例に反映されたことは間違なしでしょう。

どの部分の塗装がいかに剥げるのか、油汚れのひどい部分はどこか、兵士達はどこをどうよじ登って作業したか等々、図面や画像からは伝わらない情報が頭の中に直接インプットされて行くようでした。鈍く光る砲身、フェンダーの厚さとその手の込んだ形状、ジャーマングレイの剥がれた部分から見え隠れするイエローっぽい色等(これはひょっとしてオリジナルのダークイエローなのだろうか?!)どの部分を見ても興味が尽きませんでした。それにしてもこのサイズ・・・・・。見ているだけで操作をあきらめたくなるようなその巨体、そして小さなレバー一つにいたるまで全ての部品に溢れる重量感。下手にいじるとこちらが怪我をしかねません・・・。そして武器とは思えない各部品の丁寧な造り!(ドイツ製ですねやはり・・・)

ドラゴンの88mm:素晴らしい出来です。
丸みを帯びた細かい部品が大変多いためにパーティングラインを消す作業には少々辛抱強さが必要ですが、得られる精密感は殆どストレート組みにもかかわらず抜群でした。ドラゴンが狙うオールインザボックの完成度の高さに改めて驚かされますね。ディーテールUPはあまり行わず、各種ワイヤーリング、チェーン、細かい工具の固定フック類の他には取手、工具箱金具等の追加をするが、それ以外にはフェンダーのダメージ痕の表現程度に抑えてあります。とっても経済的です。(当然防盾もそのまま。厚さ全然気になりません!)一つだけ欠点を挙げるとすればその部品点数の多さのためにいつまで経っても完成しないというライター泣かせのキットであるというポイントでしょうか?!


"今回のこだわり"

88本体:
 
ほぼオールインザBOXですが塗装で見せると言うのが今回のテーマです。各部の質感、汚れ、磨耗具合等、画像や図面からではなく実物からのみ得られる情報を基にそれらを自分の好みに合わせて"模型的にデフォルメ"させながら作業を進めました。(本物から感じた質感等、感覚的なものを大切に)
ご存知のように実物の車両等は完全にフラットな仕上げではなく、むしろ光沢の有るものが埃や退色により落ち着いてしまった様な感じと申しましょうか。ボルトの位置や車高の高さなども勿論重要ですが、少し視点を変えて光の当たり方や汚れ箇所、材質により生まれる異なる質感全体の仕上げや雰囲気等にも注目していただければ幸いです。

ベース:
あえて88とフィギアの人数からすると多少大き目サイズのベースを使用してみました。余分と感じられるスペースに、その時代や季節に合わせた自然が広がっているとしたら・・・それらはよりリアルにその作品の伝えたい"情景"つまりその場所の季節感や空気感を再現してくれるのではないか?との助言を頂き試行錯誤してみました。


ベース上の自然の表現とその他:
今回は設定が初夏である為大量の草が必要になる事が容易に予想されましたが、基本的に3種類のドライフラワーとスタテックグラスを使用しています。ドライフラワーはエアブラシで塗装。この際、1種類につき数色を準備してみました。草の生え方に気を配り、それぞれの高さや生え方が不自然にならないように注意しています。

農道のリアルさも出来るだけ追求しています。轍の深さや大小石の配置、道路と草むらの境界の表現等本物をよく観察し、違和感のないものにしようと努力しています。。落ちている石のサイズや場所もそうですが、同時にその色にも変化を持たすことが大事ですので個別に着色してた物も多数あります。

左後方に配置した塀はドラゴンのノルマンディー戦フィギアアセットの箱絵(6003 German Combat Unit)を参考に再現しています。(ドラゴンの箱絵は本当に参考になりますね。)塀の高さは適当ですが、情景全体を見た際に右前方から斜め後ろに向かうほど高くなるように意識しています。高低差をつけることによりサイズの割には奥行きが出るように?工夫して見たつもりです。また右の崩れて捨てられたレンガと壁の上のレンガが色的に見て対比しているように配置しました。詰まれた石はDIYショップで大量に購入(余裕で一生分ありますね・・・)&庭で拾った小石。レンガは着色した石膏板を適当なサイズに切り出した自作品です。


フィギア:

特徴である迷彩プルオーバーの再現とそれぞれの配置、及び砲とのフィット感などに気を使いました。今回使用したAFVクラブ製このセットは同社のFLAK18用に開発されているために、ドラゴンのFLAK36に合わせるには相応の改造が必要でした。腕の多くはスクラッチ、また胴体の削り込み等を主に施しました。キットは5体入りのセットで情景には少し寂しい為にドラゴンのインジェクションフィギアを2体追加しました。(#6243 Kampfegruppe Von Luck & #6093 German Snipers)こちらに関してはレジンのものに見劣りしないように注意し手を加えています。その他の主な小物としてはAFVクラブのFLAK18・TIGER1アミュニション&アクセサリーセット付属の砲弾ケースを使用しましたが、インジェクションとは思えない完成度で、エッチングパーツも付く大変素晴らしいキットでした。


キャプション

88mm砲:

それぞれの質感を出すためメジャーな部品を別々に塗装。砲身、防盾、工具類、車輪を分ける。フィルタリングでの色調を変化させるのではなく、基本色のバリエーションを3色準備し、本体上部と下部の微妙な明度差を施す。(ダークイエローにデッキタン、茶系色を追加)これらを上から下に色が暗くなるように吹き付ける。チッピング、埃汚れの表現も同様に上下で差をつける。光の当たり方から生まれる色の変化は重要だが、同時に各部の艶のコントロールも同等に大切。使用するサーフェーサーの選択から始まって(スパーファインもしくはファインなのか等)クリア系のオーバースプレイの量と吹き付け場所、そして最終的な汚しにいたるまでの一連の作業によって変化を付けて行く。最も目立つ砲身部分は鈍く光らせるために基本塗装前の下地つくりを丁寧に行い、その他の部分とは別にしてクリア系のオーバースプレイを数回施している。チッピング、錆の表現には場所により3、4色使用。傷跡は細かめに。これらはバランスを考えて側面と下部を中心に行った。塗装だけで傷をつけるのではなく、ピンセットやカッターも使用。(これが楽しい!)道具箱、フェンダーは薄くダメージ痕を追加、防盾には弾痕表現している。パテとスタティクグラスを混ぜた泥を各部に擦り付けている。砲本体に見られる様々なワイヤー類を銅線でそれらしく追加。実際の88には数多くのチェーンが取り付けられているが目立つと思われる部分のみエッチングで再現。工具類の取り付け金具はステイプラーの芯。木製部分にはカッターで木目を追加している。
 

フィギア:
AFVは腕をメインに改造、ドラゴンはベルト類、襟、しわの追加、両腕の変更など行っています。

*塗装:
タミヤアクリル&バレフォを使用。7体全員がほぼ同じ服装である為に各兵士のポンチョと迷彩の色調は微妙に変化させています。ジャケットとズボンの色合いも同様に変えています。(上着がフィールドグレイならズボンはRLMグレイ)。ポンチョは茶系、もしくは緑系のベースカラーを使用。茶系はダークイエローにデッキタン等を混ぜた物をそして緑系はRLMグレイに同じような色を混ぜたものを基本色としています。細かい迷彩塗装は全てヴァレホ。シャドウを何時入れるか?の質問がありますが、特に決めていません。迷彩を入れる前に少し施しその後、迷彩塗装が終了してからまた行う場合が殆どです。
*大切な下地:
塗装の方法論が注目されがちですが、それ以前に必ずマスターしなければいけないのがこれかもしれません。いまさらそんな基本的な・・・とおっしゃる声が聞こえてきそうですが、塗料するとすぐ染みが出てしまいうまく伸びない、グラデーションが出せない等の原因はその下地処理のあまさに起因している場合が多い為に是非時間をかけて丁寧に行っていただければ幸いです。パテ等で傷や隙間を埋めた後、ペーパーがけを3段階(600,800,1200?)位に分けて丁寧に施します。そしてサーフェイサーを吹いた後"必ず"見つかる小さな傷等を丁寧にまた処理するこの繰り返しを行います。(自分の場合この作業を最低2,3度繰り返します)。そして更にナイロンブラシ等で磨きをかけると良いでしょう。(特に顔などは念入りに!)下地がしっかり出来ていればその後の極薄塗料を使ったグラデーションの表現はスムーズに行えますが、逆の場合は厚塗りを行うためによけいな艶が出てしまう可能性が高くなります。


ジオラマ:
今回はひたすら草を植えていたような気がします・・・。88の製作、フィギアの塗装も大変でしたが実はこの作業に一番時間を取られています。いくら植えてもボリューム感の出ない草には本当に参りました。結局予定より多めにスタティクグラスを使い、かろうじてスペースを埋めることに成功しています。スチレンボード、木工粘土、ドフィックスを使用して作った地面をよく観察して、草の生えそうな場所を探しながら(日当たりがよく、水が流れず、踏み荒らされていないであろう場所)これらのポイントを中心に植えていきます。草植えは基本的に地面の塗装が済んだ時点行っています。束にして地面に穴を開けながら木工用ボンドで固定していきます。石の壁はスチレンボードを芯にして例の石を積み上げてあります。石の隙間はなるべく出来ないようにするが、目立つものが出来ればそこは砂で埋めておきます。古びた感じを出すために一部を崩して草を植えてみました。コケの表現も・・・ともいましたが今回は時間切れでした!


Dragon's 88 mm Flak 36:

So here it was right in my neighborhood!!

At the beginning of the year, I got a call from the Chief Editor of the magazine asking me if I wanted to see the real 88!
Needless to say, I jumped at the opportunity. As it turns out, a collector bought it about 7 years ago (do not ask me how he ever got it into the country) and it was just sitting in a warehouse out in the boonies since then. Luckily, some enthusiasts decided to rescue the beast, and it is now undergoing a major overhaul. It will be ready for public viewing not too far in the future.In every respect, it was a very impressive weapon. The size alone was overwhelming, and just looking at it was enough forme. I cannot even begin to imagine operating such heavy equipment in the field, facing a very hostile group of people desperate to overrun you....

As long as I had enough information to build the model, like some photographs, drawings and maybe technical data, I was
going to be very happy and content. I never thought that it was really necessary to see the real thing at all. Boy was I ever wrong! When I started to paint my 88, I knew exactly how some little tiny pieces in 1/35 were actually robust in reallife. I touched the barrel so I knew how smooth the surface was, and how you have to climb onto it when you just want tosee the area close up. I saw oil stains in some areas, as well as places where paint was chipped off. I also knew and realized how scary and formidable it actually looked. It was built in 1944 and must have seen some action. Thinking of all the people who must have been involved with this weapon, I was no longer just gathering data to build my 88. Naturally, with all the respect I had for the weapon, areas I never expected to pay attention to mean a lot more to me, and thoughI will not go into detail, it certainly affected the way I handle the model.

An excellent kit!
Dragon's 88 was super! As with many other recent releases by the company, it offers a variety of options and comes with an incredible amount of bonus parts. The only downfall of this kit was that it took so long to complete. You just have to deal with so many tiny parts! This should actually make modelers happy, but it is not so great when you have a deadline to meet!!! Anyway, however long it may take you to complete, you will be sure to thoroughly love it. Except for the wiring, some hand rails, parts of tool holders, and chains to keep things from getting lost (man, they really loved the chains! Were the artillery crews known to lose things or what?! ) the kit was built from the box.

The real 88 was glowing dimly in the dark warehouse. Depending on the finish and kinds of materials that they used to build each part of the weapon, they were all glowing slightly differently. So, to reproduce the "glow" observed, I used 2 different primers (fine and super fine), 3 different tones of dark yellow, and a red brown undercoat. Finally, some clear colors (clear orange, smoke, and clear yellow) were sprayed to finish it off. Tamiya's acrylics were used to paint most of the areas and as for the weathering and finishing touches, Vallejo paints were used. Similar to my figure painting, I gave multiple thin layers of coating to get a finish resembling what one would get through filtering and dry brushing, but without actually using these techniques. I have always tried to do things differently so that the result I get is somewhat unique.