AVF club 1/35 232  8輪縦装甲車初期型  

* 232 Making *

待ちに待った232の決定版:

231の発売発表があった際、同製品が現段階で最も優れた製品になるであろうことは容易に想像でききました。その再限度は期待通りのもので、キットそのものの完成度だけでなくエッチング、金属パーツ、クリア部品等の付属品も含めた全ての面において従来製品を圧倒するディテールが盛り込まれているAFVclubらしさが余すところなく感じられる素晴らしいキットであると思います。(特に昨年D社プーマ、T社231の作例を担当していますので各社の違いを直で感じています!)

複雑な形状をした本体は大変シャープに仕上げられています。独特のヒンジ類や繊細なハッチ類、雨樋、極小のリベット、そして細部まできっちり再現された足回りなども文句なしの出来で、大戦初期のオーバースペック気味な独軍車輌のゴージャスな雰囲気をひしひしと感じることが出来ます。232の顔であり最も注目すべき複雑な形状を持ったフレームアンテナの出来は想像以上の完成度でしたし(基部の部品の薄いこと!!レジンチャイまんの?!レベルです。)、フェンダー組み込まれている収納ボックスの内部やハッチ本体と周辺の細かいディテールも抜け目なく盛り込まれていて大満足です。さらに外見の充実だけには収まらず、どうぞ開きまくってくださいといわんばかりの開閉に耐えられるハッチ類と内部の高い表現度(エンジン本体以外)はあらゆる設定の情景の主役として最高のアイテムとして皆さんの希望に応えてくれると思います。また実車の解説も含む取説は余裕をもったページ数&構成で製作のモチベーションキープに一躍買うと思いますが、キットそのもの以外からも同社の製品に対しての愛情なるものが伺われるのはユーザーとしては嬉しいですね。と、褒めちぎりましたがじゃ死角は無しなの?と言われればそうではありません。

高再現度=繊細部品です。それらの取り扱いには細心の注意と根気が必要です。スケール的には正しけれど細か過ぎて実際の組み立てには強度的に問題のある部品も多少あります。また組み立てが完了すると塗装が出来ない部分等が多数あるので、塗装を含む組み立て手順には取説に無い工夫が必要ですし、取り付け位置が不明瞭なものや多少修正が必要な部品も存在しています。しかしこれらの課題を腰をすえてじっくりこなしていけばそれは格好8輪中装甲車が手にはります!詳しくは製作記事を参照ください。

実車に関して:
同社よりすでに発売されている231との違いは100W送信機Fu11 SE100無線機が装備され、車体上部に専用の大型フレームアンテナが装備されたことですが、それ以外は231と同一仕様でした。SE100は周波数200〜1200kkHzで音声送信は停止時及び移動時でそれぞれ20kmと10kmのレンジがありました。MG34は主砲の同軸機銃として使用されますが、専用バイザーを開口し照準を行えば独立しても射撃が可能でした。本車には生産時期によりさまざまな形態変形が見られますが、キットで再現された初期型車輌はフェンダーの前後部が短いタイプであり操縦士用ビジョンバイザーが2スリットタイプであること、そして方向指示器にガードフレームが無く、砲塔上面シグナルポートハッチ前方に跳弾板がねじ止めされている事などから1938年前半生産車輌と思われます。ちなみに同年には231&232を合わせて50両程度生産されています。予備タイヤが装備されていませんがこれは1943年2月頃までは防弾型のタイヤチューブを使用していたためだと思われます。





とにかく凄〜いキットです。組み立てには少々根気が必要ですが、じっくり取り組めば素晴らしい作品を手に入れること間違いありません!是非手にとって実感していただきたい一品です。今後のヴァリエーション展開がますます楽しみです。中、後期型とか出ないでしょうか・・・アフリカで降下猟兵をどっさり乗せ走るやつを一度やってみたいと思います。(MA: 9月号P86-90)