German Pz.Kpfm T−34 /88

"存在しても不思議ではない車輌の製作"。これを念頭に妄想を繰り返した結果が今回のハイブリット自走砲でした。よりオリジナル濃度の高い物を製作したい!と考えるのが多くの読者の常ではないかと思いますが、今回の企画、そんな欲求を満たすかもしれない"代替的"なアプローチの一つとしてご覧いただければ幸いです。

妄想の産物、しかし細部に関しては考証に沿いながら作ってみる。
インパクトはあるかもしれませんが、タイガーにミサイルを積むのは今回の趣向とは異なるので控えています。形の面白さを追求しながらも、製作に用いた素材は全て当時現地調達可能であったと思われる物からなるべくチョイスしています。実在しない車輌でありながら実は史実的考証を細部に取り入れる。これにより嘘っぽさの払拭を
"謀り"ました。結果的に当初想像していた超お気軽、はちゃめちゃ架空戦闘車輌とは相反するものが完成しましたが、このおもちゃっぽく見せない為のプロセスが、スケールモデラーの腕と知識の見せ所であると思ってますし、また楽しい部分ではないかと感じています。

設定
慢性的な車輌不足、そして現地改造大好きドイツ軍。捕獲車輌のリサイクルにより、あらゆる火砲の自走砲化を行っていたことはご承知のとおり。最も使用され、優れた独軍火砲の一つとして存在した88mm砲、そしてソ連軍に大量に運用されていた機動力に優れた
T-34の車体。この2者を組み合わせる行為は極自然であると想定し(その後これに良く似た車輌があった事が判明!)、ハイブリッド車輌として製作を進めました。勿論KV系も考慮しましたが、88mmの巨大さを強調するにはアンバランスな方がよいと勝手に判断しました。このペア、技術的にかなり無理があったのかもしれませんが、そこは好みのデザイン性を優先する方がいいのではとまた勝手に決めて駄目だし無しです。設定した時代背景から極端に外さない事は、オリジナル車輌の製作の楽しさを奪ってしまわない適度な制限を生むと同時に作品にそれなりの説得力を与える効果があるのではないかと思います。

齋藤、金子両氏による作品には大変高い妄想&技術力を必要としますが、自分の様に市販のキットの2個一と、基本的なディテールUPを行うだけでもそれなりの物が出来る事を理解していただければと思います。皆さんが最も得意とする分野(工作技術も含む)に多少特化した設定を選択すれば、今までとはまた少し違う楽しみ方が出来るのではないでしょうか。賛否両論あると当然思いますが、今回のような設定だと製作に集中すること間違いないですよ。(このやり方だと在庫消化にも繋がりますし・・・)是非一度お試しを!





今回使用した88はり最低減必要な装備だけのみの仕様としています。考証には細かい画像と解説をM氏にご提供いただきました。誠にありがとうございました。


主に半自動装填装置、電装官製系装置、その他対空射撃用各種装置等を本体から取り外してあり、また砲身にはFLAK18を使用しております。

調子に乗り過ぎて、危うく絶対必要な装置もはずしていましたが、
(砲本体左側、旋回ギア用ピニオンの位置を調整する装置が無い?!とM氏よりのご指摘。仮についてないとすると、軸の先が飛び出して運用上も正位置にもどせないのでものすごい不便なはず!!!とのことでした〜。で、画像は未装着のやばい状態です。)
ご指摘いただきとりあえず対戦車戦闘は可能な状態に成っています。ただしこのような形で88をT−34に実際搭載できたかは大変疑問です。発射すると同時にバランスを失って前につんのめるとか、どうやって装填したのか、どこに弾薬を積んでおくのか等々疑問はつきませんが、どうかご了承ください。

キットは88,T-34/85双方共にドラゴンで、大変組みよいキットです。
T-34車体はドイツ軍が運用したな、と言う感じを出すために多少独軍の装備を取り付けています。
フェンダーを飛ばしたり、へこませたり、工具箱等に穴をあけたりと細かいダメージ表現を施しています。
付属のエッチングを使用、各部の溶接跡をパテで追加しています。また一部工具箱等のエッジがシャープではないのでプラペーパー等でそれらを補っています。

暇そうに乗っかている兵士はトライスターの1号トラクターに付属していたものを改造しています。
両手、両足首(地面に着いていないので、下に向かせる必要アリ)そして、足自身ははひざから両方共切断(怖!)しています。また砲に密着させるために接触部分をパテでそれらしく加工しています。このフィギアモールドは抜群です。特に襟章等文句なしです。ただし何故か指のモールドのみ、いまいちなのでここだけ丁寧に仕上げる必要ありですが、その他本当によい出来です。頭部は毎度おなじみのホーネットですが、結構マイナーなひょっとこ顔です。