アフリカ象 プラクテス・キット
 

PRACTICE Iネイチャーシリーズ NO.2/アフリカゾウ)工作・塗装ガイド
                

原型:塚田貴士  塗装・解説:篠原比佐人

本品No.2象は、最も大切な筆塗り技術の一つであるグラデーション塗装(シャドウ&陰影付)の練習を目的に企画したキットです。この技術は殆ど全ての立体造形物塗装の基本として用いられているもので、そのコンセプトはエアブラシ等にも応用可能です。

製作:
パーツの確認 本体パーツ部品x4 台座パーツx1
パーツの清掃
表面処理パテによる小さ穴・傷埋めも必要に応じて行います。

 

塗装

下地塗装 プライマ―(サーフェイサー)吹きによる下地塗装が一般的でありこれは塗料の“のり”をよくする為に使用します。通常缶スプレータイプを直接使用するかエアブラシで吹き付けます。今回は本キットの精細なディテール、またレジンの象牙に似た半透明の白地を生かすためにサーフェイサーは使用していません。

ベース色塗装 
塗装はすべてタミヤ・アクリルを使用しています。(オプションであるウエザリング汚し塗装を除く)乾燥が速く、水を溶剤として使用できるアクリル塗料は筆による重ね塗りに大変適しています。分離を起こしやすい塗料であるために塗料はよく混ぜて使用してください。また使用する筆は軟らかい水彩画用のものがよいでしょう。作例ではベース色の下塗りに限りエアブラシを使用しています。タミヤXF19・ニュートラルグレイをタミヤ・アクリル専用の溶剤で1:3程度の比率で最明部以外全体に吹きます。最明部とはキットの最も明るい部分で、主に頭部、耳の先端部等画像に白く残っている部分を指します。筆塗りの場合は水で1:5程度に薄めたベース色を準備して同様に塗装します。凹部分は何度も塗り重ねるように、そして凸部分にはあまり塗料をのせないように注意するとより立体感を出すことが可能です。牙パーツの塗装はこの段階では行いません。
 

 

シャドウ入れ(グラデーション塗装) 
@ニュートラルグレイと水を1:1で薄めた塗料で凹部分(ベース色で塗装した部分より狭い範囲)  を中心に塗装していきます。
Aニュートラルグレイに少量のタミヤXF52・フラットアースを足した後、1:2程度に水で溶きます。@塗装した部分よりさらに小さな範囲の凹部分を塗装します。微妙なグラデーション効果を得たい場合このAの作業を数回繰り返し行います。この際フラットアースの比率を上げ変化をもたらすとよいでしょう。また対象が生物であるために、“適量”であれば筆ムラやはみ出しは良いアクセントにもなります。
B水で1:3程度に薄めたタミヤXF63・ジャーマングレイでさらに深く影がかかる部分や強調した意場所を塗装します。
C1:1の比率で薄めたジャーマングレイを細筆で耳の最も奥まった部分や口元、目の周辺等“最暗部”のみに墨入れ感覚で塗装します。
D一度塗料を完全に乾燥させるために2日程度放置します。その後全体のバランスを考えながらAとBの工程を繰り返し更なる深みを出していきます。慌てず、薄く溶いた塗料を根気よく塗り重ねていってください。

 


細部のディテールアップ塗装 
目玉周辺、口の中、鼻の内部に少量のタミヤXF17・ピンクを落とします。眼球はタミヤXF1・ブラックで塗装します。
牙はレジンキットその物の色が象牙近いためにこれはそのまま利用します。ごく薄く溶いたフラットアースで洗い流すように塗装します。更により濃いフラットアースを部分的に牙の根元や傷の深い場所などに使用してアクセントを付けます。また牙の先端等はより地肌が見えるように心がけます。( 最終的にエアブラシでクリアでコーティングを施すと更に質感がUPします!)

オプショナル塗装 
ここではよりリアルな仕上がりを得るために行われるウエザリング塗装(汚し塗装)をオプションとして紹介します。これまでの工程で既にキットの明暗部分は十分強調され立体的に仕上がっていると思われますが、ここではさらにその効果を強調させます。タミヤ・エナメルのフラットブラックとフラットアースをそれぞれ1:1で混ぜ合わせ、その後“専用のエナメル溶剤”で1:5程度以上に薄めたものを凹部分中心に流し込んでいきます。(ウォッシング塗装)土汚れを再現するためにピグメント(パステル等粉上の塗料ですが、今回は入手が最も簡単な“との粉”を使用。)を足元や鼻、また土埃が溜まりそうな部分においていきます。余分なピグメントは吹き飛ばしますが、完全に定着させたい場合は、エナメル溶剤、または上のウォッシング塗装で準備したエナメル塗料を少量染み込ませます。