アクリルを使用したフィギアの塗装:

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大切な下地:

塗装の方法論が注目されがちだが、それ以前に必ずマスターしなければいけないのがこれである。いまさらそんな基本的な・・・と言われるかも知れないが、塗装塗料するとすぐ染みになる、うまく伸びない、グラデーションが出せない等の原因はその下地処理のあまさに起因している場合が多い。塗装技術が高くても下地処理ができていなければよい仕上がりは期待できないわけで、塗装と同様もしくはそれ以上に丁寧に仕上げるべき。あらかじめパテ等で傷や隙間が埋まればペーパーがけを3段階(600,800,1200)位に分けて丁寧に施す。そしてサーフェイサーを吹いた後"必ず"見つかる小さな傷等を丁寧にまた処理する。自分の場合この作業を最低2,3度繰り返す。そして更にナイロンブラシ等で磨きをかける。特に顔などは念入りにしている。下地がしっかり出来ていればその後の極薄塗料を使ったグラデーションの表現はスムーズに行える。逆の場合は厚塗りを行うためによけいな艶が出てしまう。また薄めた塗料は表面の傷を確実に拾う為にいやなしみが現れることにもなる。


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ひたすら混ぜるいつも混ぜる

水で溶くアクリル塗料は他の油ベースのそれと比較すると、塗料と溶剤が分離する時間が結構短いように思います。分離してしまうと意図した色で塗装を進めることが出来ませんし、下手をすればその部分だけ不自然な光沢を帯びてしまうかも知れません。これを防ぐ為にはとにかくマメに塗料を混ぜるしかありません。筆で塗料を吸い取るついでに少し混ぜ合わせるといいと思います。

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肌の塗装:

ブレンディングが油彩のように自在に出来ないアクリル塗料には、肌の塗装はあまり向かない分野なのかも知れません。またどちらかと言いますとムラになり易く、修正も手軽に出来ない為に敬遠される方もいらっしゃるかもしれません。しかし、フラットで明度の高い仕上がりはフィギアの塗装には適していると感じています。また、アクリル塗料を薄く重ね塗りした場合下地の色が透き通って見える独特の特徴がありますが、これは微妙な肌色の表現には必要でありこの塗料の特徴を一番生かせる分野であると思っています。


ラッカーやエナメル系の強烈な匂いが大の苦手である自分にはそれほど臭わず、また”水”で溶かす事が可能なであると言うこの塗料の利点も魅力であるため愛用するようになりました。色々な塗料を試して自分に合う塗料を見つける事、そしてそれぞれの塗料の特徴をよく理解して使用する場所や方法等によりそれらの塗料を使い分けるという事が同様に重要だと思います。

タミヤアクリル
エアブラシ〔ベース等比較的広い範囲の塗装〕、つや消し仕上げ:

エアブラシによる吹きつけに関しては断然こちらが使い勝手が良いと感じています。また薄ーく溶いた塗料は艶を作品から消す作業に最適で頻繁に使用します。同様の理由から、希望する色がタミヤアクリルで用意できれば影付けもこちらで行っています。欲しいと思う色がタミヤアクリルで存在する場合は可能な限りこちらを使います。

タミヤアクリルは相当薄めてもエアブラシで使う事が出来ますし、筆塗りも可能です。しかし同じ様にVAを薄めた場合塗装面に対する食いつきが極端に悪いか全く塗装できない場合があります。よって広範囲の基本塗装に関してはやはりタミヤの方が優れていると思います。

UPS:
VAに比べると乾燥時間がやや長いように思います。パレット上での作業時間が少し長目に取れるため乾燥により塗料の濃度加減の微調整をVAほど行う必要がないと思います。


バヤフォ(VALELJO、発音はスペイン人のLUさんに尋ねましたのでOKなはず?!です!)
細かい迷彩塗装、装備品等小さな部品の塗装:


タミヤでもよいと思うのですが色が揃っていると言う事と粒子が細かく伸びがよいと言うこれらの二つの理由から細かい部分の塗装にはとても適していると思います。値段が高い、〔スペインではタミヤぐらいの値段か安いぐらいでしょうねきっと〕そしてどこででも購入できないのが難点ですが、その豊富なカラーと特徴はとてもありがたい存在。特に細かい迷彩塗装を行う場合には大変助かります。

UPS:
重ね塗りを行った際にある程度下地の色が透けて見える。
慎重に行えばとても
微妙なグラデーションの再現が可能。明るい色調の衣類の陰影、肌の色の再現に良い。

その他:
塗膜の薄いアクリルは手などで触れてしまうと簡単に”てかり”が出てしまうケースが多いと思いますが、修正も簡単に行えます。(極薄に溶いた同色をその部分に少し塗るだけでOK!)また塗膜が薄い=重ね塗りを相当行ってもOKと言う事ですのでやはりフィギア塗装には向いていると思います。


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塗料の濃度そしてに筆に含ませる適当な量:

エアブラシを頻繁にお使いになる方であればよく分かっていただけると思うのですが塗料を吹き付ける際、その濃度とプレッシャーの微妙なコントロールがうまくマッチした時のみ最高の結果を得る事が出来ると思います。(特に極細ライン等を再現する時など!)。

アクリル塗料の塗りに関しても例外は無く、上記と同じような事が言えるのではないかと思っています。


塗料の濃度

下地を生かしたい場合また微妙なグラデーションをつける時など特に気を使います。VALLEJOは一滴づつ容器から取り出せる(落とせる)ので溶剤をスポイト等で同様に落とす事により濃度の微妙なコントロールを行う事が容易に出来ます。タミヤの場合は筆に取ってその分量を1単位(〜一滴ぐらい。勿論使用する筆の大きさによって変化します)と考えて溶剤を加えます。そして(イメージ的には鬼のように....。)良くかき混ぜます。

準備する濃度は大まかに言って1:1、1:2、1:7ぐらいでその使用する場所や下地の色目また目的によって使い分けています。パレットにとってある塗料は乾燥してきますのでスポイトでまめに溶剤を適量と思われる分だけを足していきます。文章で説明しますと難しく見えるのですがようは”慣れ”でありきちんと測らなくても色の濃さを目で判断できるようになると思います。ただし始めに溶剤と混ぜる場合は1摘1滴とちゃんと数えてます.....。


筆に含ませる塗料

これは文章で説明する事が大変難しいのですが、手っ取り早く言いますと塗料を含ませた筆でいきなり塗装を開始しないと言う事ではないかと思います。微妙なグラデーションに必要な適度な塗料の量は相手が小さいだけに本当に極僅かです。ですからフィギア塗装の場合大抵筆についた塗料の分量は多すぎます。これを回避するために塗料を含ませた筆を一度必ずテッシュ等に触れさせて余分な分量を取り除きます。こ々ではドライブラシを少し想像してみてください。適量でドライブラシを行わないとひどい結果になりますがその要領と全く同じです!アクリルの適度な量と言うのは自分の場合その筆を模型に乗せた時に塗料が殆ど流れず筆が触れた”その部分だけ”に塗料が残る(=しっかりコントロールが可能)状態が”適量”だと思っています。これは(マジで)なかなか面倒な作業ですがこれを怠るとアクリルと言うミディアムは直ぐにいやーなシミをばっちり大切な模型表面に残してくれます。

エナメルの場合、ムラが出来た場合、適量溶剤によるブレンディング等で多少のミスはカバーできますがアクリルの場合シミの部分を完全に取り除く事は勿論程度や状態にもよりますが殆ど不可能ですので注意が必要です。ここまで書きますとアクリルやだ〜と思われる方いらっしゃると思いますがどの塗料を使っても結局微妙な塗装を施したいと思えば結構面倒だと言う事ではないかと思います。確かにシミになりやすいし濃度のコントロールが難しいアクリルはそのような意味からは決して使い勝手の最も良い塗料とは思いません。でも一方で筆を単純に水の入った容器にジャバジャバ入れて洗えるとか、いやな匂いが全くしないので気分が悪くならず換気扇も要らない等とってもお手軽な面もあります。また自分は日本画が大変好きなのですがアクリル塗料はその画風により近い塗りを再現させてくれると言う事もアクリルのファンになった一要因であります。

人それぞれですね本当に!でももし最近アクリルをお買いになった人がいましたら上の2点に気を使ってみてください。少し違う結果が得られるかも知れませんよ!

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*このリストは終わりではなく今後もどんどん増えていくと思いますが先ず自分がとりあえず気になっている部分からまとめてみました。もしご意見ありましたら是非メールください!