"フィギア、車輌、グランウンドワークのコラボ、そしてそれらの特徴を強調するレイアウト。"
作例等頻繁に登場するキングタイガーに新鮮実を持たすには細かい交渉的要素も大切だが、大胆なレイアウトが効果的であると考えた。フィギアを傾いた車体の上下の目立つ配置することによりその巨大さを見せる工夫をした。前のめりの構図は高低差が自然に演出されるが、木々そして低い草を配置することにより更にその効果を強調させた。また掘り返された地面や深くめり込んだ車体で重戦車の"重さ"の再現を試み、そして季節感を全面に出す為に木々に春を思わす新緑を吹かせた。情景作品全体が与える"インパクト"は主役の完成度は勿論だが、そのレイアウト、そして必然的に多くの面積を占める(良く計算され作りこまれつつも目立ち過ぎない)グランドワークが全体とうまく調和してこそフルに出るものでありその重要性を是非感じていただきたいと思う。車輌、兵隊の装備品、塗装で、特定の戦場の臨場感等を出すのは勿論だが、グランドの作りこみは作品のレベルUPには欠かせない存在であり、地面に同様のアプローチを持ち込めばより説得力の在る物となる。またリアルさの演出には質感も大切。ウエザリングを含む塗装をおこなう際、兵士、車輌各部の光沢そして地面の異なる部分の湿り気具合の再現には特に注意した。
SS503重戦車大隊キングタイガー:
イメージを浮かべる上で重戦車大隊記録集2・SS編の戦記は最良の資料の一つだった。図面や写真からだけでは想像できない部分を補完してくれるため情景製作にはありがたい。製作面ではMGバルジ特集齋藤氏の記事が大変参考なる。第一中隊以外の車輌にはマーキングは殆ど施されなかった。しかしキルマークだけは歴戦の彼らに相応しく極端に多く描かれていた。作例では13本手書きで追加した。迷彩塗装はダークイエローの面積が多い傾向にある。車輌の生産時期は1944年10月以降ぐらいのものに設定。塗装は全てタミヤアクリル、車体上部は迷彩塗装が無い。基本色はダークイエロー+ホワイト+デザートイエーロー、茶系はNATOブラウン+基本色(少量)、緑系にはフラットグリーン+基本色(少量)を使用した。上下の色調を変化させるために基本色のバリエーションを作り、砲塔と車体は別々に塗装。砲塔には明るめのダークイエローを使用した。砲身には部分的にクリアを吹いている。ウエザリングは品よく汚し、やり過ぎないように注意。こだわりの泥(汚れ)の表現は以下のようにまとめた。
乾いた泥(乗員の足跡風に多少使用)=砂(細かいもの多め)、木屑(少量)、木工用ボンド、スタティクグラス(少量)、少量のカベ材(白ではなく灰色)、アクリル塗料
湿った泥=上の物にアクリルの濃い目の色を足す。スタティクグラスは多目
最も湿った泥=こびりつけた泥の上から着色したクリスタルレジンを塗りたくる。
埃は主に車体全面、後部、側面下部車体上面の特に前部、そして砲塔上部の前部、エンジンデッキ全体に施した。チッピングには茶、グレー、ダークイエロー、デッキタンの4色。
フィギア:
バーリンデン製品を中心に改造。ホーネットの頭部を使用している。武器追加の装備品はドラゴンG2、ストラップ類はデューロパテ、髪、マフラー等はタミヤエポパテを使用。
SS戦車兵
末期になってもSS重戦車大隊の乗員は上下黒の戦車兵用ユニフォームを着用している場合が多かった。迷彩効果も無いこれらの乗員服は機能的観点からは必ずしも優れていたと言えるものではなかったが、この選択は強烈にエリート意識の強かった彼らならではのこだわりであったようである。
SS擲弾兵
あらゆる迷彩パターンが存在するために、個性の強調には全く困らない。登場する兵士全員が異なる迷彩服を着用している。迷彩パターンは雑にならないように丁寧に塗装をおこなう。それぞれのパターンをよく観察、分解。各色の占める比率、そして形状、またそれぞれの色がどう重なるのか等頭に入れてから作業を進める。また全体の色調を合わせるために、基本色をそれぞれの迷彩色に微量混入させている。基本的に墨入れ、そしてグラデーション塗装は迷彩が終了した時点で行うが部分的に影を先に入れる場合もある。
また作品全体を引き締める木製の台の製作はネロオリジナルに別注した。
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